「子どもの貧困解決に、何かかかわることはできないだろうか」と思ったことはありますか? 朝日新聞社が今月、大阪市内で開いたフォーラム「子どもと貧困〜踏みだそう、解決への一歩」では、具体的に一歩を踏み出した「先輩」たちと語り合ったり活動を疑似体験したりしました。共通するのは、つながりをつくり、孤立を防ごうという意識でした。
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門馬優さんの講座には、約60人が参加しました。TEDICの活動は多様です。学習支援のほか、小学校や町内会などと協力して、子ども食堂を立ち上げました。児童相談所や病院、他の支援団体などとも連携し、一人一人に合わせた支援をしています。
象徴的な取り組みは、生活困窮世帯の子どもたちが学生ボランティアらと夕食を食べたり宿題をしたりして過ごす「トワイライトスペース」。会話をしながらの夕食を経験したことがない子、甘い飲み物ばかり飲んでいるのでお茶や水が飲めない子、本当に何も食べていない子……。そんな子たちを見て門馬さんは「一つのテーブルをみんなで囲んで食べるってすごく大切な営み」と感じています。利用者の3人に1人は不登校だそうです。
門馬さんの原点は、東日本大震災後の、ある不登校の中学生男子との出会いです。リストラされアルコールに逃げていた父親は母親に暴力をふるい、家庭は荒れていました。その中学生は震災があって外に放り出され、ボランティアとの出会いを経て、門馬さんのところに来ました。「震災があったからやっと人とつながることができた」と話していたそうです。
震災で可視化されただけで、今もつながることができていない子がいるはず。「どこで、どんな環境のもとに生まれても、『当たり前』に生きていけるようにしたい」。それが門馬さんの願いです。(
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